皆さん、こんにちは。私は2010年にセブ島でジャパニーズヘルプデスクを立ち上げ、現地の医療機関で長年働いてきました。
ジャパニーズヘルプデスクとは、フィリピンやインドを中心とした海外の病院で、日本人や韓国人が安心して診療を受けられるようサポートする会社です。
セブ島での医療従事者としての経験から、日本人の患者さんが頻繁にかかってしまう「怖い病気」があることを実感しています。今回は、その中でも特に危険で日本人が注意すべき病気ベスト3をご紹介します。
第3位:デング熱 – 治療薬がない恐ろしい感染症
デング熱とは
デング熱とは、デングウイルスに感染することで発熱を来す病気です。多くは数日間の発熱期間で自然に治りますが、まれに自然治癒せず「デング出血熱」と呼ばれる重い病気を併発するケースもあります。主に東南アジアや南アジア、中南米等の熱帯地域に流行します。
私のデング熱体験談
私自身も約10年前にデング熱にかかったのですが、かなりきつかったです。当時、セブの大学に通っていたのですが、高熱が続いて1週間ほど学校を休みました。
デング熱の厄介なことは、治療薬がないことです。(予防接種・ワクチンもなく、対処療法になります)だから、デング熱のかかった日本人はだいたい病院で1週間程度入院させられ、点滴によってビタミンや水分補給、免疫力アップを図ります。
項目 | 詳細 |
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原因・感染経路 | デングウイルスを持っているネッタイシマカやヒトスジシマカに刺されることで感染。人から人へ感染することは通常ありません。 |
症状 | 潜伏期間:3〜7日(長くても15日) ・38~40℃の高熱 ・激しい頭痛(特に目の奥の痛み) ・吐き気、嘔吐、下痢 ・呼吸困難 ・関節痛、筋肉痛 ・発疹(胸や胴体から始まり手足や顔面に広がる) |
治療方法 | ・特効薬なし(対症療法のみ) ・点滴による水分補給 ・ビタミン補給 ・免疫力向上のための入院管理 ・重症型デングの場合は集中治療が必要 |
デング熱の予防対策
セブの医療機関で働いている時に医師から頂いたアドバイスは、以下の通りです:
- 蚊が多くいる場所には近寄らない
- 長袖の服と長ズボンの着用で露出部分を少なくする
- 虫除けスプレーをこまめに使用する
しかし、セブ島では蚊はそこらじゅうにいるので、近寄らないということは非常に困難です。というのも、蚊は水たまり、排水溝、放置されたペットボトルや空き瓶、植木鉢の皿等で発生するのです。
待ち合わせ中、または乗り物を待っている数分で、多くの蚊が寄ってくるのでボーっとすることはできないのです。
第2位:尿路結石 – 「陣痛より痛い」激痛に苦しむ日本人多数
尿路結石とは
私がセブ島の病院で働いていた時に、尿路結石で苦しまれた日本人患者さんをかなりの割合で見かけました。
この病気は、石が尿路の狭い部分に詰まってしまい、尿管などを刺激して強い痛みを発症するのですが、痛みが出る部分は太ももの付け根部分や背中などで、尿路結石が発生している場所によるのです。
そして、尿管を刺激した場合に激痛となることが多く、あまりの痛さで脂汗をかいている患者さんが多くいたのです。本当に、我慢ができないほどの痛みで、中にはのたうちまわる患者さんもいたのです。(陣痛より痛かったと言う女性患者さんもいらっしゃいます)
項目 | 詳細 |
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原因 | ・高温多湿な気候による脱水 ・フィリピン料理の高塩分・高脂肪 ・水分摂取不足 ・先天的な体質 ・カルシウム代謝異常 |
症状 | ・背部から腹部の激痛 ・下腹部から陰部の突発的な痛み ・血尿(尿が赤くなる) ・吐き気・嘔吐 ・排尿痛、頻尿 ・残尿感 |
治療方法 | ・小さな結石:水分摂取で自然排出を促す ・大きな結石:衝撃波砕石術(ESWL) ・内視鏡手術 ・薬物療法(鎮痛剤、排石促進薬) ・点滴による水分補給 |
尿路結石の恐ろしさ
さらに、この病気の怖いところは尿路結石が長く体内に留まると腎機能に障害をきたし、腎不全に発展し人工透析が必要になる可能性もあるのです。
予防方法
このような怖い尿路結石の原因は、先天的に石ができやすい人もいるのですが、やはり食生活が密接に関わってまいります。結石になりやすい塩分や脂肪が、フィリピンのレストランで出される料理にはたっぷりと含まれております。
防ぐためには、水をたくさん飲むことやできるだけ自炊をすることです。1日2リットル以上の水分摂取を心がけ、1時間に1回程度の水分補給習慣をつけることが重要です。
第1位:結核 – フィリピンは世界第6位の高蔓延国
結核の現状
フィリピンは結核の高蔓延国であり、2023年時点で世界第6位の発生率を誇ります。セブ市・セブ島でも毎年一定数の患者報告があり、日本人も決して安全ではありません。
項目 | 詳細 |
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原因 | ・結核菌(Mycobacterium tuberculosis)の感染 ・感染者の咳やくしゃみによる飛沫感染 ・免疫力低下時の発症 ・栄養不良、ストレス |
症状 | ・2週間以上続く咳・痰 ・微熱(37〜38℃) ・体重減少 ・寝汗 ・倦怠感 ・胸痛 ・呼吸困難(進行例) |
治療方法 | ・抗結核薬の組み合わせ療法 ・6〜12ヶ月の長期治療 ・DOTS(直接監視下短期化学療法) ・多剤耐性結核の場合は18〜24ヶ月治療 ・栄養療法、免疫力向上 |
結核の危険性
結核菌は感染初期は無症状で潜伏し、体力低下やストレスで発症しやすくなります。フィリピンでは多剤耐性結核や治療困難な症例も存在するため、早期発見・早期治療が極めて重要です。
予防対策
- 不特定多数との密接接触はできるだけ避ける
- 寝室や事務所を定期的に換気する
- 不明な発熱・咳症状が続く場合は早めにレントゲン・痰検査を受ける
- 現地在住者や長期滞在者(1カ月超)は現地医療機関での健診を定期的に受ける
- 栄養バランスの良い食事と十分な睡眠で免疫力を維持する
その他の注意すべき病気
セブ島では上記3つの病気以外にも、狂犬病など、日本人が注意すべき感染症が複数存在します。狂犬病についても別の記事で詳しく解説していますので、ぜひご確認ください。
海外旅行保険の重要性
これらの病気に備えるためには、海外旅行保険付帯のクレジットカードを持参することを強くお勧めします。
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まとめ
セブ島での生活や旅行を安全に楽しむためには、これらの病気についての正しい知識と予防対策が不可欠です。特にデング熱、尿路結石、結核は日本人が実際にかかりやすい病気ですので、十分に注意してください。
フィリピンの平均寿命は環境だけでなく、こういった病気のリスクが密接に関係しているので、自分でしっかりコントロールする必要があるのです。
何か症状が現れた場合は、自己判断せずに必ず現地の医療機関を受診することをお勧めします。
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