なぜマニラ空港は「世界最悪空港」と呼ばれるのか?
マニラ空港(ニノイ・アキノ国際空港)は2011年から3年連続で「世界最悪空港ワースト1位」を獲得した悪名高い空港です。
フィリピン政府が約30億円をかけて改修工事を実施したことで2015年以降はワースト1位から脱出したものの、今なお多くのトラブルや事件が報告されています。
日本の空港では考えられないような事件が日常的に発生するマニラ空港。今回は、実際に起きた衝撃の事件とその対策法を紹介します。これから渡航する方は必読の情報です。
マニラ空港で実際に起きた衝撃の窃盗事件と証拠隠滅
2023年、マニラ空港の女性職員が外国人旅行者のバッグから現金300ドルを盗み出す事件が発生しました。驚くべきことに、この職員は発覚を恐れて紙幣を飲み込もうとする瞬間がビデオに記録されていました。この映像はSNSを通じて拡散され、マニラ空港の治安の悪さを象徴する出来事となりました。
同年、別のタイ人旅行者も現金を盗まれかける事件が報告されています。これらは氷山の一角にすぎません。
汚職まみれの空港職員による衝撃的な犯罪手口
マニラ空港の問題は単なる窃盗だけではありません。職員による組織的な汚職も深刻です。
入国管理局の大規模汚職
2022年6月には、中国人の不正入国に関与していたとして入国管理局の職員45人が一斉に免職処分となりました。調査によると、彼らは入国に便宜を図る見返りとして**約140万ペソ(約350万円)**もの賄賂を受け取っていたとされています。
悪名高い「弾丸恐喝」手口
2016年には「弾丸恐喝(Tanim Bala)」と呼ばれる手口が横行していました。空港職員が乗客の荷物に故意に銃弾を忍ばせ、X線検査で発見した後に「銃弾の機内持ち込みは違法行為だ」と脅し、見逃す代わりに金銭を要求するというものです。
あるアメリカ人は支払いを拒否したため、なんと6日間も留置場に拘束され、4万ペソ(約10万円)の保釈金を支払わされました。その後もフィリピンからの出国は禁止されたといいます。
マニラ空港で起きた衝撃の銃撃事件
マニラ空港では実際に命の危険すらある重大事件も発生しています。
空港内での町長暗殺事件
2013年、マニラ空港で地方自治体の町長を含む4人が銃撃され死亡、4人が負傷する事件が発生しました。一行がターミナル外で車を待っていたところ、突然銃を持った複数の男が近づき発砲したのです。
史上最悪の政治暗殺事件
さらに遡ると1983年には、当時のマルコス大統領の政敵だったベニグノ・アキノ氏が白昼堂々と暗殺されるという衝撃的な事件も起きています。この事件を機に空港の名称は「マニラ国際空港」から「ニノイ・アキノ国際空港」へと改称されました。
英語では「Ninoy Aquino International Airport」と表記され、略して「NAIA」と表記されることあります。当記事では、わかりやすくする為に便宜上マニラ空港と記載)
「最悪空港」の名にふさわしい混沌の実態
マニラ空港には4つのターミナルビルがありますが、それぞれのターミナル間の移動が非常に困難です。ターミナル間の連絡性が全く考慮されていない設計で、乗り継ぎの際には一度空港敷地外の一般道路に出なければなりません。
信頼できないシャトルバス
ターミナル間のシャトルバスはありますが、時間通りに来ないうえに本数も少なく全く頼りになりません。このため多くの旅行者はタクシーを利用せざるを得ませんが、ここでも問題が待ち受けています。
悪徳タクシー
空港周辺には悪徳タクシーが大挙して観光客を待ち伏せています。彼らはメーターを使わず、外国人とわかると法外な料金をふっかけるのが常套手段です。驚くべきことに、これらのタクシーはフィリピン人でさえ被害に遭うほど悪質です。
時間に余裕があれば、不当な料金を要求するタクシーをすぐに降りて別のタクシーを探すという対応も可能ですが、乗り継ぎなどで時間がない場合は、延々と交渉を強いられ疲弊することになります。
ちなみに私は5台目でやっとまともなタクシーにたどり着けたこともありました。(4回タクシーから降りました)
乗り継ぎ等で時間がないうえに、延々と交渉をさせられ、ぐったりと疲れさせられます・・・
以上のように、他のターミナルへ移動しての乗り継ぎは、かなり余裕をみないと乗り遅れる可能性があるので要注意です。乗り遅れると、航空券は無効になり新たに航空券を買わないと行けないケースになりかねません。(仮にスムーズに行けば、時間をつぶさないといけないので、ラウンジやマッサージ、仮眠ができる場所等、時間つぶしの計画も考えておいてください)
マニラ空港の他の問題点
マニラ空港の問題はこれだけではありません
・頻発する航空便の遅延
・慢性的な混雑と長い待ち時間
・非効率な運営システム
・職員の不親切な対応
・飲食店や店舗が少ない貧弱な施設
・不利な両替レート
・深刻な交通渋滞による移動の困難さ
これらの問題が複合的に絡み合い、「世界最悪空港」という評価を生み出したのです。
筆者の100回以上の利用経験から見た真実
筆者は国内線も含めると100回以上マニラ空港を利用していますが、これまで深刻なトラブルには遭遇していません。強いて言えば、2023年2月に永住ビザの更新漏れで約1カ月間フィリピン国内に拘束された経験くらいです。
トラブルを避けられている理由として考えられるのは:
1.裕福に見られていない(難癖をつけてお金を要求されにくい)
2.ターミナル1と2の利用が少ない(比較的トラブルが多いとされる)
【完全対策ガイド】マニラ空港でのトラブルから身を守る方法
マニラ空港でのトラブルを回避するための具体的な対策をご紹介します:
財布・貴重品の管理を徹底する
・財布や貴重品はカバンの奥にしまい、決して外から見えないようにする
・パスポートや現金は身につけるタイプのセキュリティポーチを利用する
・多額の現金は持ち歩かず、必要最低限に分散して持つ
持ち物から絶対に目を離さない
スリや置き引きは想像以上に多いため、荷物を床に置く際も足で挟むなどして監視する
・セキュリティチェックでも自分の荷物から目を離さない(職員による窃盗も発生しています)
・一度に多くの荷物を持ち歩かないよう工夫する
知らない人に荷物を渡さない
・「手伝いましょうか」と声をかけてくるポーターらしき人には注意
・正規のポーターであっても、荷物を預けた後に法外な料金を要求されることがある
・自分で持てる量の荷物だけを持参し、必要ない限りポーターを利用しない
保安検査場では特に警戒を
・検査官の手元をしっかり観察し、不審な動きがないか確認する
・貴重品は検査トレイに入れず、検査後すぐに手荷物を回収する
・「何か見つかった」と言われても冷静に対応し、必要なら上司や警察官の立ち会いを求める
十分な乗り継ぎ時間を確保する
・マニラ空港での乗り継ぎは、特に異なるターミナル間の場合、最低4時間以上の余裕を持つ
・可能であれば、マニラでの乗り継ぎ自体を避ける選択も検討する
・乗り継ぎ失敗に備え、航空会社の連絡先や代替便の情報を事前に確認しておく
マニラ空港での安全を確保するために
マニラ空港は改善されつつあるものの、依然として多くの旅行者にとってストレスフルな場所です。特に初めて利用する方は、この記事で紹介したトラブルの実態と対策を頭に入れ、警戒心を持って行動することが重要です。
適切な準備と注意を払えば、マニラ空港でのトラブルリスクを大幅に減らすことができます。フィリピン旅行の安全を確保するための第一歩として、ぜひこの情報を役立ててください。
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