私はフィリピン・セブ島で約10年間生活し、その間に娘が生まれました。
娘は生後間もない頃から3歳までフィリピンで育ち、その後日本へ帰国し、現在は日本で小学校生活を送っています。
つまり私は、フィリピンと日本の両方で子育てを経験した父親です。
さらに私は現地の病院で勤務していたため、日本人の子どもがデング熱や肺炎などで入院するケースも数多く見てきました。
子育てをする親としてだけでなく、医療現場で働く立場からもフィリピンの育児環境を見てきたことは、私にとって大きな経験となっています。
実際に両国で子育てをしてみると、子どもへの接し方、教育、医療、治安、社会の雰囲気など、多くの違いがありました。
「フィリピンは子育てしやすい?」「日本とどちらが子どもにとって幸せなの?」と気になる方も多いでしょう。
この記事では、実際にフィリピンと日本の両方で子育てを経験した父親の視点から、それぞれのメリット・デメリットを詳しく解説します。
フィリピンと日本の子育てを比較して感じた違い【一覧表】
| 比較項目 | フィリピン | 日本 |
|---|---|---|
| 子どもへの接し方 | 子どもにとても寛容でフレンドリー | 周囲への配慮を重視 |
| 医療 | 私立病院中心・医療費は高額 | 公的医療制度が充実 |
| 教育 | 英語教育・発表が多い | 基礎学力・協調性を重視 |
| 治安 | 地域差が大きく注意が必要 | 世界的に見ても安全 |
| 英語環境 | 日常生活で自然に英語を学べる | 英語を使う機会は少ない |
| 育児制度 | 日本ほど充実していない | 医療費助成や育児支援制度が充実 |
| 子どもの自由度 | 比較的自由 | 規則や集団行動が多い |
| 親のストレス | 比較的少ない | 周囲への気遣いが多い |
もちろん、どちらが良い・悪いという単純な話ではありません。
私自身、両方の国で子育てを経験したからこそ、それぞれに魅力と課題があることを実感しました。
ここからは、実体験をもとに詳しく紹介していきます。
フィリピンの子育て環境のメリット|社会全体が子どもに優しい
私がフィリピンで子育てをして最も驚いたのは、社会全体が子どもにとても優しいことでした。
日本では「子どもが騒いだら迷惑をかけてしまう」と気を遣う場面が多くありますが、フィリピンではそのような空気を感じることはほとんどありません。
むしろ子どもがいると、多くの人が笑顔で話しかけてくれます。
知らない人でも自然に子どもへ話しかけてくれる
ショッピングモールへ行くと、店員さんだけでなく、知らない人まで娘に話しかけてくれました。
「かわいいね」「何歳なの?」と笑顔で声を掛けてくれることが日常茶飯事です。
ベビーカーを押しているとドアを開けてくれたり、レジで順番を譲ってくれたり、日本ではあまり経験しなかった親切を数え切れないほど受けました。
子どもがいるだけで周囲が笑顔になる、そんな温かい雰囲気がフィリピンにはあります。

子どもが泣いても嫌な顔をされない
一度、娘がカフェで大泣きしてしまったことがありました。
日本なら「早く外へ連れ出さなければ」と焦っていたと思います。
しかしフィリピンでは、近くの席にいた女性が笑顔で娘をあやしてくれ、周囲の人も「子どもだから仕方ないよ」という雰囲気でした。
この時、「子育ては親だけでするものではなく、地域みんなで支えるもの」という文化を強く感じました。
親も神経質になりすぎなくて済む
こうした環境のおかげで、親自身も精神的にかなり楽になります。
「静かにしなさい」と何度も注意する必要がなく、多少騒いでも温かく見守ってくれる人が多いため、子どもものびのびと過ごせます。
もちろん最低限のマナーは必要ですが、日本に比べると親が感じるプレッシャーはかなり少ないと感じました。
親戚や周囲みんなで子どもを育てる文化
フィリピンでは家族や親戚とのつながりが非常に強く、子育ても家族全体で行うという考え方が根付いています。
祖父母や親戚が子どもの面倒を見ることも珍しくなく、「子どもは家族みんなの宝」という考え方をよく目にしました。
そのため、共働き家庭でも日本ほど孤立して子育てをしている印象は少なく、困った時には助け合う文化があります。
特に私がフィリピンで生活していて印象的だったのが、シングルマザーでも周囲の人に支えてもらいながら、普通に仕事や生活をしている姿です。
フィリピンではシングルマザーも珍しい存在ではなく、私が見てきた中でも、子どもを育てながら働いている女性がたくさんいました。
中には職場に子どもを連れてきている女性もいました。
日本では「仕事場に子どもを連れて行く」というのは難しいケースが多いと思いますが、フィリピンでは職場の環境によっては、子どもを連れてきている姿を見かけることがあります。
そして、母親が仕事をしている間、職場にいる暇な人が入れ代わり立ち代わり子どもの相手をしていました。
「この子はこの人の子どもだから、この人が面倒を見る」というより、その場にいる人が自然に子どもを気にかけるという感じです。
もちろん、すべての職場で子どもを連れて行けるわけではありません。しかし、こうした光景を実際に見てきた私にとっては、フィリピンの子育てを語るうえで非常に印象に残っている文化です。
日本ではシングルマザーが仕事と子育てを一人で抱え込んでしまったり、周囲の目を気にして肩身の狭い思いをしたりするケースもあります。
一方、私がフィリピンで生活して感じたのは、シングルマザーだからといって特別視されることなく、普通に生活している女性が多いということでした。
もちろんフィリピンにも、シングルマザーが経済的な問題や子育ての負担を抱えることはあります。
それでも、家族や親戚、近所の人、そして職場の人たちが子育てを助けてくれる環境があることは、フィリピンで子育てをする大きなメリットの一つだと私は感じました。
こうしたフィリピンの子育て環境を実際に体験してみたい方には、親子留学という選択肢もあります。
私自身、フィリピン・セブ島で約10年間生活し、実際に子育ても経験しました。セブ島の親子留学については、メリットだけでなく、費用や安全面、実際に生活してみて分かった注意点も含めて、こちらの記事で詳しく紹介しています。
👉 セブ島親子留学はやめた方がいい?0歳からOKの現実と失敗例【費用・安全・後悔】
英語が自然に身につく環境
フィリピンは英語が公用語の一つです。
幼い頃から英語に触れられるため、娘も自然と英語の単語や簡単な会話を覚えていきました。
日本では英語は学校で学ぶ科目ですが、フィリピンでは生活そのものが英語学習になります。
将来、英語力を身につけさせたいと考える家庭にとっては、大きなメリットの一つと言えるでしょう。
フィリピンで子育てするデメリット|医療・治安・生活環境には注意が必要
フィリピンは子どもに優しい国ですが、一方で日本とは異なるリスクもあります。
実際に子育てをしてみると、「日本ではあまり意識しなくてもよいこと」を常に気にしなければならない場面が数多くありました。
特に医療・治安・衛生環境については、渡航前に知っておくことをおすすめします。
日本とは異なる感染症への備えが必要
私は現地の病院で勤務していたため、日本人の子どもが入院するケースも何度も見てきました。
もちろん全員が重症になるわけではありませんが、日本ではあまり見かけない病気に注意する必要があります。
- デング熱
- RSウイルス感染症
- 肺炎
- 食中毒
- 狂犬病
- 寄生虫感染
特にデング熱は蚊が媒介する感染症で、セブ島でも毎年患者が発生しています。
小さな子どもは重症化する可能性もあるため、虫除け対策は欠かせません。
また、日本ではほとんど意識しない狂犬病も、フィリピンでは野犬や野良猫が多いため注意が必要です。
子どもは動物に興味を持って近づいてしまうことが多いため、親が目を離さないことも大切です。
医療費は日本より高額になることも
フィリピンには優秀な医師も多くいますが、外国人が利用する私立病院では医療費が高額になるケースがあります。
診察だけでも数千円以上かかることがあり、入院や手術になると数十万円以上になることも珍しくありません。
そのため、フィリピンで子育てをする場合は海外旅行保険や医療保険への加入をおすすめします。
交通事情や治安にも気を配る必要がある
日本では小学生が一人で登下校する姿をよく見かけますが、フィリピンではそのような光景はほとんどありません。
交通量が多く、歩行者優先の意識も日本ほど浸透していないため、小さな子どもだけで外出することは現実的ではありません。
また、地域によってはスリや置き引きなどの軽犯罪も発生しているため、親子ともに防犯意識を持つことが大切です。
害虫も多く、ゴキブリや蚊、ムカデなどに悩まされることもありました。
害虫対策については、フィリピンの巨大ゴキブリ・ムカデ対策の記事で詳しく紹介しています。
フィリピンと日本の教育の違い
子育てをする中で、教育の考え方にも大きな違いを感じました。
フィリピンは英語教育と発表を重視
フィリピンでは幼い頃から英語に触れる環境が整っており、授業でも積極的に英語が使われています。
また、人前で発表する機会も多く、先生が質問すると子どもたちが積極的に手を挙げて発言する姿が印象的でした。
一方で、暗記中心の授業が多いと感じる場面もありました。
日本は協調性や基礎学力を重視
日本では基礎学力だけでなく、協調性や規律を身につける教育が行われています。
掃除や給食当番、係活動などを通じて責任感を育てる仕組みは、日本ならではの特徴だと思います。
集団生活を学ぶという点では、日本の教育は世界的に見ても優れていると感じました。
フィリピンで感じた「褒めて育てること」の落とし穴
私はフィリピン・セブ島で約10年間生活してきましたが、子育てについて日本とはかなり違うと感じたことがあります。
それは、子どもをとにかく褒める文化です。
もちろん、子どもを褒めること自体は悪いことではありません。子どもの自信を育てることも大切です。
ただ、私がフィリピンで長く生活していて感じたのは、実際の能力や努力、結果とは関係なく、幼い頃から「かわいい」「かっこいい」「あなたはすごい」と褒められ続けている人も少なくないということでした。
小さい頃から親や周囲の大人に「かわいい」「かっこいい」と言われ続ければ、自分に自信を持つようになるのは当然かもしれません。
私がセブ島で生活していたときには、スマートフォンの待ち受け画面に自分自身の写真を設定している人を何度も見かけました。もちろん、これは個人の好みなので、それだけで何かを判断できるものではありません。
しかし、私が長年フィリピンで生活していて感じたのは、「自分は人より優れている」と必要以上に自信を持っているように見える人が、日本より多いのではないかということでした。
「俺がやる」と自信満々だったのに、何もできなかった
このことを特に強く感じたのが、私がセブ島の大学に留学していた頃です。
グループで課題に取り組むことがありましたが、まだ何も分かっていないのに、「俺がやる」と自信満々に参加してくるフィリピン人学生を何人も見ました。
ところが、実際に課題を始めてみると、何をすればいいのか分からず、ほとんど何もできない。
最初は「なぜ、できないのにあれほど自信満々なんだろう?」と不思議に思いました。
しかし、フィリピンで長く生活するうちに、私はその理由の一つとして、幼い頃から周囲の大人に褒められ、自分に自信を持つことを強く肯定されてきた文化があるのではないかと考えるようになりました。
もちろん、これは私がフィリピンで生活してきた中での個人的な経験と印象です。フィリピン人全員に当てはまる話ではありません。
この経験と重なったフォーサイス教授らの実験
そんな私の経験と重なったのが、バージニア・コモンウェルス大学のフォーサイス教授らが行った実験です。
フォーサイス教授らは、最初の試験で成績の悪かった大学生をランダムに2つのグループに分け、一方には宿題に関する連絡とともに、自尊心を高めるようなメッセージを送りました。
もう一方のグループには、自尊心を高めるメッセージではなく、宿題に関する事務的な連絡や、個人の管理能力・責任感の重要性を伝えるメッセージを送りました。
その結果、特に最初の試験で成績が低かった学生では、自尊心を高めるメッセージを受け取ったグループの期末試験の成績が、受け取らなかったグループより低くなったことが報告されています。
この研究は大学生を対象とした一つの実験ですから、「子どもを褒めると成績が悪くなる」と単純に結論づけることはできません。
それでも私は、この研究結果を知ったとき、セブ島の大学で見てきた光景を思い出しました。
「自分ならできる」と自信満々に課題に参加したものの、実際には何もできなかった学生たちです。
私はフィリピンで長く生活してきたからこそ、この研究が示している「実際の能力とは関係なく自尊心だけを高めることが、必ずしも良い結果につながるとは限らない」という点には、非常に納得するところがあります。
子どもに「かわいい」「かっこいい」と言って愛情を伝えることは悪いことではありません。
しかし、何をしても「すごい」「あなたならできる」と褒め続けるだけでは、自分の実力を客観的に見る機会を失ってしまう可能性があります。
私は、子どもを褒めるのであれば、単に「あなたはすごい」と本人そのものを無条件に持ち上げるのではなく、「よく頑張ったね」「前よりできるようになったね」「自分で考えて解決できたね」というように、努力や成長、具体的な行動を褒めることが大切だと思っています。
フィリピンと日本の両方で子育てを経験した私にとって、これは非常に考えさせられる違いの一つです。
日本へ帰国して娘が苦労したこと
娘は3歳までフィリピンで育ったため、日本へ帰国した当初は戸惑うことも少なくありませんでした。
日本語がほとんど分からなかった
家庭では英語や現地の言葉に触れる時間が長かったため、日本語はほとんど理解できませんでした。
幼稚園や学校では先生や友達の話が分からず、最初は苦労していました。
しかし、子どもの適応力は本当に素晴らしく、少しずつ日本語を覚え、今では普通に学校生活を送っています。
日本の生活ルールに戸惑うこともあった
フィリピンでは比較的自由な雰囲気でしたが、日本では集団行動や学校生活のルールが多くあります。
掃除や当番、整列など、日本ならではの文化に慣れるまで少し時間がかかりました。
それでも友達や先生に支えられながら少しずつ成長していく姿を見て、子どもの順応性の高さを改めて実感しました。
フィリピン移住や子育てを考えるなら、まずは現地を見てみよう
ここまで読んで、「フィリピンで子育てをしてみたい」「日本とは違う環境で子どもを育ててみたい」と思った方もいるかもしれません。
ただ、いきなり移住を決めるのではなく、まずは一度フィリピンを訪れて、自分や家族に合う環境なのかを確認してみることをおすすめします。
私自身、フィリピン・セブ島で約10年間生活してきましたが、実際に現地で暮らしてみないと分からないことはたくさんあります。
特に子どもと一緒に生活する場合は、観光旅行だけではなく、スーパーや病院、交通事情、学校の周辺など、実際の生活をイメージしながら現地を見ておくとよいでしょう。
そして、フィリピンへ下見に行く際に忘れたくないのが、海外旅行中の病気やケガへの備えです。
海外旅行保険を別途契約する方法もありますが、楽天カードは年会費が永年無料で、海外旅行傷害保険も付帯しています。
ただし、通常の楽天カードの海外旅行傷害保険には利用条件があります。旅行前に補償内容や適用条件を確認しておきましょう。
フィリピンへの下見旅行を考えている方は、海外旅行中の「もしも」に備えて、年会費永年無料の楽天カードを検討してみるのも一つの方法です。
フィリピンと日本、どちらの子育てが良いのか
実際に両国で子育てを経験した私の結論は、「どちらが優れている」と単純に比較できるものではないということです。
フィリピンには子どもを温かく見守る文化があり、子どもものびのびと成長できる環境があります。
一方、日本には安心できる医療制度や教育制度、安全な生活環境があります。
それぞれに長所と短所があるからこそ、親としてはその国の特徴を理解し、子どもに合った環境を選ぶことが大切だと思います。
娘はフィリピンと日本という異なる文化の中で育ちました。
日本語が分からず苦労した時期もありましたが、それを乗り越え、今では両方の文化に触れながら成長しています。
振り返ってみると、フィリピンで子どもを温かく見守る文化を経験できたこと、日本で安心して教育を受けられる環境を経験できたこと、そのどちらも娘にとって大きな財産になったと感じています。
私自身もフィリピンと日本の両方で子育てを経験したことで、「どちらが優れているか」ではなく、「それぞれの良さを知ること」が親として最も大切なのだと考えるようになりました。
娘もこれから成長する中で、フィリピンと日本で過ごした経験を生かし、広い視野を持った大人になってくれたら嬉しいと思う今日この頃です。


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